ブロアの実際の動作点

 集塵シミュレーションでは、ある総圧力損失がある集塵システムで、必要な風量を得るためにはブロアにどれだけの静圧が必要か?という計算をしてきましたが、現実にはぴったりその風量、静圧があるブロアがあるとは限りません。その風量、風圧がブロア特性曲線図の左下エリア(横軸、縦軸、特性曲線で囲むエリア)であれば、実際に得られる風量は必要風量を上回りますし、モータープーリーの径を変更するなり、インバータなどで回転数を制御して必要風量に調節が可能です。
 では例えば想定風量での総損失がブロアの静圧より大きくなってしまった場合は

 圧力損失計算表の例ではメインダクト100φ、サイクロンを接続、速度圧271Pa、風量10m3/minでの計算例ですが、総圧力損失は2495Pa(≒2.5KPa)、この集塵システムの総圧損係数はメインダクトでの値に換算してζt=9.21となっています。
 この集塵システムの総圧力損失=2495Paは下図のブロアの最大静圧よりずっと大きく、この場合実際の風量は平衡状態に落ち着きます。

風量Qが2m3/minで、100φのダクトでは風速Vは
 V=2÷(0.05×0.05×3.14×60)=4.25 (m/s)
この時の速度圧Pvは
 Pv=(4.25÷4.04)2×9.8≒10.8 (Pa)
この風速での圧力損失計算表の接続の集塵システムの圧力損失は
 PL=総圧損係数ζt×速度圧Pv=10.8×9.21≒99(Pa)

同じく風量Qが4m3/minでは
 V=4÷(0.05×0.05×3.14×60)=8.50 (m/s)
 Pv=(8.50÷4.04)2×9.8≒43.4 (Pa) 
 PL=ζt×Pv=43.4×9.21≒400(Pa)

同じく風量Qが6m3/minでは
 V=6÷(0.05×0.05×3.14×60)=12.7 (m/s)
 Pv=(12.7÷4.04)2×9.8≒96.8 (Pa) 
 PL=ζt×Pv=96.8×9.21≒891(Pa)

同じく風量Qが8m3/minでは
 V=8÷(0.05×0.05×3.14×60)=17.0 (m/s)
 Pv=(17.0÷4.04)2×9.8≒174 (Pa) 
 PL=ζt×Pv=174×9.21≒1603(Pa)

となり、これを昭和電機(株)製のブロアEP-100の性能曲線図に書き込むと赤い放物線になります。圧力損失は風速の二乗に比例しますから放物線です。



この赤い圧力損失曲線と、ブルーの60Hzでのブロアの特性曲線の交点(緑の点)が、実際のブロアの動作点になり、その時の 風量≒7m3/min となります。その時のブロアの静圧は約1.4KPaです。

 ちょっと難しかったかもしれませんが、集塵システムの圧力損失(圧損係数)を計算する事で、このように集塵システムに接続した時の風量を実際に求める事が出来ます。

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