続・電動ブラストゲート(4)

 「あったらいいな」でも紹介しましたが、Ecogate社の電動・自動ブラストゲート($450ほどだった)は気になる?商品でした。アメリカの木工ストアで販売されていましたが現時点では量販店の商品から削除されているようです。

 もともと小規模木工用のものではなく産業用が主力のようで、最近の環境意識の高まりとともに使用していない区画の空調、送風などを遮断し送風・冷暖房などのエネルギーを節約するために需要が増えたためでしょうか?

 この画像ではシャッターは手動のブラストゲートと同じく閉じるだけですが、新タイプはダクト径の穴が開いたゲート開の状態でもロスが少ないタイプに変わっているようです。またシャッターの外周に歯をつけてシャッターを開・閉しているようでこのメリットはモーターのトルクが少なくて済むことです。

 機械の動作を検出するセンサーとして電源ケーブルそのものに直接簡単に取り付けられるものがありました。小さな磁気コアを2個、電源ケーブルのそれぞれの電線の交流電流を検出、位相反転して合成しているような感じでしたが、実際にはどうしているのか興味があります。

電動ブラストゲートの締めくくりとしてこのタイプを製作することにしました。 ハードルは歯車の製作です。歯先のインボリュート曲線はCADで簡単に書けるようですが専用ソフトは高価で、ためしに試用版で印刷してみましたが機能制限で線が凸凹になってしまい使えそうにありませんでした。

 久しぶりにまなさんのホームページを拝見したところ、木工旋盤のルーターレース化改造で歯車を製作されていて図面も掲載されています。あつかましいと思いつつご相談したところ早速この目的のための歯車の図面を書いたいただく事が出来ました。まなさんありがとうございました。

 
 左が加工中の様子、ワークベンチのクランプに後ろから板を当てて固定して作業、図面を両面テープで貼り付けて、歯底円中心にあらかじめ穴明けし、ラフにノコで切り落としてからヤスリでせっせと削りました。手持ちの1t A5052(アルミ合金)のサイズギリギリいっぱいで刃先直径は285mm、モーター側の歯車は5tスチロール板で同様に加工。
 右が出来上がった歯車で、ギア比は10:93、小歯車には6Φのモーター軸に取り付けるためのパーツを取り付けています。赤い柄の小さな鋸はXACTO社のピラニアソーですが、25年ほど前に購入したものです。切れは悪くなっていますがこうした細かい加工には便利で、今は同様のものが別のメーカーから販売されています。

 あ、書き忘れましたがこの円盤はBS-10Kに古い24TPIの細い木工用のブレードで切り取りました。キーキーうるさかったですがどうにか加工できました(ただしブレードスピードは4m/s程度の低速、普通木工の切断では15〜20m/sぐらい)。

 MAR. 3 2010


続・自動ブラストゲートの製作(4) の続き


 パーツ加工が出来ました。

 ベースは6tの塩ビ板、DCギアモーターは天窓の開閉リモコンに使っているもので12V 80rpmです。開閉動作ではシャッターが30歯動き、モーターの小歯車は10歯なので、
 30÷((80×10)÷60) ≒ 2.3秒
で開閉が行われます。

 ホースの接続はホームセンターにある空調の100Φガラりの一部でベースと接着します。、マイクロスイッチはオークションでヒンジ・バーの先端に小さなローラーがついたものを入手しました。

 左画像はシャッターが閉じた状態です。シャッター板の厚さが1mmで周囲のスペーサーは同じく1mm厚のアクリル板を切り抜き、薄い両面テープでベースに貼り付け、もう一方の面にも両面テープを貼り付け白い紙ははがさずにおきます。これでシャッターが動く隙間を確保しています。動作確認が出来たら周囲をネジで固定します。



 こちらの画像はシャッターが開いた状態です。ベースにあけた二箇所の四角い穴は、外側からマイクロスイッチのローラーを突き出し、シャッター板が押し上げて動作させます。オープン側のリミットスイッチはこれまでとは逆にクローズ状態ではシャッター板に押されていて、開ききるちょっと前にシャッター板が無くなって開放されます。

 シャッターは手持ちの150mm幅の板で作ったのでギリギリで、開動作の際ギアが外に外れて噛み合わなくなってしまう恐れがあり1歯分増やし、中心を切り欠いてこの部分が閉じる動作の際にマイクロスイッチを押し上げるようにもなっています。半径があと20ミリぐらいあるともう少し余裕で作れたかな。

 モーターの正・逆転切り替えのリレーはモーターと同じ12Vでジャンク箱から見つけたもの。

 こちらはもうちょっとです。


続・自動ブラストゲートの製作(4) 完成

 動作テストが終わり、組み立てたところです。DCギアモーターの形からベースもこのようになりました。下画像はクローズ側リミットスイッチの様子で左がシャッターが閉じてマイクロスイッチが押されている状態、右が開放された状態です。
 

 そして左画像がオープン側マイクロスイッチの取り付けの様子です。
 シャッターの中心角を90度より大きくしているのは、シャッターが閉じている状態で、シャッターが出入りする側のシャッターとベース板の重なりがあまり少なくなると空気漏れの恐れがあったからです。シャッター板の径を大きくすればその心配は少なくなります。

 空調用のガラリはABS樹脂ですが、ベースの塩ビ板とは塩ビ用の接着剤で貼り付けています。
 開・閉は予定通り約2秒ですすっと動作、100V系のルーターレース、ベルトサンダー、ワークベンチ作業の電動工具などの集塵用に使用します。

 再度、歯車の図面を作っていただいたまなさんに感謝! しつつ長い間?続いた自動ブラストゲートシリーズも今回でおしまい。


MAR. 6 2010