デッキチェア (1) (2) (3) (4)


 今使っているパイプ椅子のキャンバス地がへたってきたので、ずっと考えていたデッキチェアを作ることにした。参考に市販品や著名人のデザインなどを探してみたが、気に入った全体イメージのものが見つからず、結局木の折りたたみ椅子としてはこれしかない?? (NYチェアも好きですが・・・)手持ちの本の中にPP512のオリジナルの1/10図面があった。スキャナーでデータを取り込み、画像ソフトで2.5倍、プリンターのポスター用の16枚分割印刷機能で拡大してほぼ実寸の図面が出来た。

 何組か印刷し、ボール紙に貼り付けてから切り取ってテンプレートを作成、材料にパターンを写し取り、バンドソーで大まかに切断し、ベルトサンダーで仕上げた。
材料は34ミリ厚のタモ板、1800×200の一枚から横枠を除くパーツ2組を取るためやや無理な木取りとなり、目切れが多い。
  
加工が終わって塗装中の様子。短時間でも雨にあたることも考えられるのでオイルの後軽くウレタンスプレーも吹き付けた。折りたたむと画像のようにぴったりと重なる。

折りたたみの回転軸をオフセットするためにS45C板と手持ちのφ10の鉄棒で画像の金具を製作した。右画像のねじは丸棒をプレートに固定するもの。
  

 原作の座面と背もたれは籐編みだが好みで無いのでロープ編みにしてみた。ロープをネット状に張ってクッションを置くものはあったが、座面そのものに使用した実例が見つからず材料に迷ったが、価格が安く耐水・対候性、耐久性があるというビニロンの金剛打ちロープにしてみた。金剛打ちは普通の三つ打ちなどと比較してねじれ、ほつれが少ない。クレモナという商品は主材料は同じビニロンだが数十パーセント他の材料と混紡していて、また価格がはる。ビニロンのみのロープは収縮し、テントなどの縁補強に使用して20パーセント近く縮んだという話がネットにあったが、体重で伸びた分だけ縮めばたるんでこないのでは?と勝手に想像している。また枠の材料の厚みは約30ミリあるので収縮に耐えてくれるのでは?



 画像のロープは300mのドラム巻をメーカー(大成製作所)より直接購入。
  

 左が座面、中央が背もたれの裏面、右が表面。背もたれは裏側も見えるので表と同じカナコ編みにしている。ざっと計算して300mあれば十分と思っていたが、実際に作業をしてみると画像のように足りなくなってしまった。追加オーダー中。


 座面の支えバーが必要かどうか? 原作のスライド機構は巧妙に出来ているが、スライド機構のための溝を切っているので座面を薄くするため籐編みにしている。ロープ編みにしたのでこの機構は使えず後で考えよう(笑)と政治家のように構えていたが、実際に組み立てて座ってみるとこのままでどうやら大丈夫なようだ。もっともメタボの人だと壊れてしまうだろうが・・・


 もう一脚分も含めて300mと100mのビニロンロープが届いた。

 完成したデッキチェア。屋外に置くとデッキ板に触れる足の先端部分が汚れるが、皮などのパッドを貼ることで冬季は室内でも使える。
  
 左は回転軸部分、座面の荷重は座面枠の後ろ側の横枠と、背もたれ側の両サイド枠で支えている。この部分はルーターの15度の角面ビットでカットし、点ではなく面で当たるようにしている。また枠にロープが巻かれているので木と木とがガツンとあたらない(下右画像は底面側から見たもの)。体重60Kgでは軋みなども無く、またこの構造で横揺れも無くしっかりしたものが出来た。ビニロンロープの感触はソフトで、張り具合もちょうどいい感じ。
 


 カナコ編みは編み進むうちにだんだん締まって来て、ロープを通す際お互いにこすれる。抵抗が大きいところを何十回も無理やり通すとロープの表面が毛羽立ってくる。あまり長く切って通すより、短めにして作業したほうが能率もよくこすれの影響も小さい。また金剛打ちは確かにねじれガ少なくキンクはほとんど出来なかった。


2脚目の製作 

 同じ34ミリ厚のタモ板だが1900×230と前より幅が広いので木取りが楽になり、力がかかる足部分(長さの約半分)の目切れを減らすことが出来た。
  

 サンディングで整形が済んだ部材、左はホゾ加工が終わった座面部分。
 


 一回目のオイル塗装。ワトコ・クリアは木彫オイルと比較して色がやや濃くなるようだ。


 完成した2脚目。木材の加工におおよそ2日、この季節で塗装に1日、編みに2日かかった。座面、背もたれの横枠は角材の状態で先にほぞ加工し、その後パターンを写し取って切り取りカーブ加工をした。