曲げ木ジグ作り(1)

 材料の長さに合わせて木工セイロの三段重ね(笑)。下左は一段目は正真正銘の調理用蒸し器、これでも長さ30cmまでならOK、第ニ段は長さ50cmまで幅広もカバー、さらに第三段は長さ160cmまで?・・・ 

 

続いて、薄板用のベンディング・アイロンもどき。ヒーターは? ハンダごてが手っ取り早いかも・・・ 15,30,100,300W。どれを使うか?



2004 May


曲げ木ジグ作り(2)

 ベンディング・アイロン用の温度調節器です。熱源として100Wのハンダごてをパイプに突っ込み、ウオーム・アップ時間を計ってみると200℃に達するのに20分程度かかることが分かり、もっと大きなヒーターが必要なようです。が、300Wのハンダごて、500W程度のセラミック・ヒーター等では高温になりすぎたり、過熱したりする恐れもあるのでこれを製作しました。
 ウォーム・アップ時間、パイプ径によるヒーターの熱容量の調整は秋月電子のトライアック万能調光器のキットを使用しましたが(下画像の左に黒い調節つまみが見えています)、基板がケースに入らないので、バラック/空中配線しています(笑)。
 温度調節は秋葉原の坂口電熱で”キャンピーニ 液圧式サーモスタット”という0〜320℃、最大16Aが調節できるものを購入(2500円)しました。



 サーモスタットというとバイメタル式ぐらいしか知らなかったのですが、これは感温部と接点をオン/オフするダイアフラムがキャピラリー・チューブという毛細管で繋がっていて、感温部の温度が上昇して中の液体が膨張し、圧力でダイアフラムを動かすという方法のようです。キャンピーニ? キャピラリー・チューブ? まーったく知りませんでしたあ・・・



 ベンディングに使用するパイプ径が変わって(熱容量が変わる)も、これで最適温度に調節が出来るようになります。

2004 May


曲げ木ジグ(3) ベンディング・アイロン

 実際に曲げてみると38φのパイプでは径が小さすぎる感じなので、76φのステンレス・パイプを入手。又半田ごてでは熱容量が小さい上に温度分布もムラがあるので、,熱源を250Wのヒーターにしました。



  金具を加工して、ヒーターがパイプの中央になるように
 サポート。
  電線が外側だと邪魔なので、500℃の耐熱電線を使用して
 パイプの中を通しています。この程度の温度ではハンダは
 溶けてしまう恐れがあるので圧着端子は必須です。
  使用する時は両端をステンレスの円盤で蓋をします。







 下左が完成したベンディング・アイロンもどきと、作業用の安物の皮手袋。、3〜4分で200℃になり、液圧式サーモスタットも快調に動作しています。

 

 でとりあえず何をしたか?というと、下の画像のようなウッド・コイルを作ってみました。これで何するんでしょう?(笑)



  材料はチークとタモで、一晩水に浸けてから加工。
 サペリ、パインも試しましたが、一番曲がったのは
 意外とチークで40φでも割れず。
  厚さはいずれも約1.5ミリですが、それ以外のものも
 76φならOKでした。








  2004 May


曲げ木ジグ作り(4) スティーム・ベンディング・ジグ

 スティーム・ペンディングの画像を見ると、大男が力任せに、時には2〜3人がかりで曲げるという印象が強く、これが曲げ木を敬遠する原因の1つになってしまっているような気がします。かくいう私も大男ではなく、また最近は運動不足がたたって腕の筋肉もかってのように力強い?とはとても言えません(笑)
 また、青空木工ですから、しっかりした作業テーブルがあるわけではないので、曲げようと力をかけると、作業台ごとズルズル動いてしまう事にもなりかねません。以上の点を考慮した上で作成したジグが下の画像です。



 木はかなり圧縮できますが、伸びには極めて弱い。で、Junさんも使われているVeritas製、スチールのベンディング・ストラップとエンド・ストップのセットをLeevalley Toolsから購入しました(下左)。葛城さんは使い古しの帯鋸のブレードをシャーリングで適当な幅にと紹介されていますが、市販品としてはここだけが唯一簡単に入手可能なようです。
 エンドストップのネジをレンチで廻して、上の画像のように材料の両端をしっかり挟み込みます。こうする事で材料の外周はスチール・ストラップにしっかりと押さえられ、材料の外周が伸びて割れてしまう事を防ぎます。(マニュアルより)

 大力はウインチの力を借りる事にしました。パワー・ボートを船台に引き上げる時に使用するものをマリン・ショップで購入しました。1トン以上あるパワーボート等を引き上げるため、普通はワイヤーロープ等ですが、万一切れたりして飛んできた場合の事を考え、痣程度で済むよう?12mmのクレモナ・ロープにしています。ウインチは数千円で購入できます。





  ベンディング・バーには10ミリのアイ・ナットを取り付け、
 ロープを結び付けています。昔とった何とかやらで、結びは
 もやい結びです。










 初めてですから小物から。材料は曲げやすいと思われるブナの16×18mmの角材が都合10本ですが、手持ちの角材から切り出してこの寸法になっただけです。先日作成したスチーム・ボックスで2本一組を15分ずつずらしながら、それぞれ約1時間蒸しました。

 

  ベンディング・ストラップの幅は約50mmあるので、角材を上下に2本重ねておいての曲げ作業です。ウインチは大変快適で、左手でハンドルを廻しても楽々と曲げる事が出来ました。なんかあっけない感じでした、またラッチがついているので、曲げの途中で手を休めても静止させ事が出来、好都合です。コーナーは半径10cmで小さめなので、型から浮き上がってしまう部分はクランブで整えていきます。
 画像で失敗したのはウインチの巻上げ方向です。このままではベンディング・バーが浮き上がってしまうのでクランプで押さえなければなりませんでしたが、途中でグズグズ出来ないのでそのまま作業を続けました。回転方向は逆にしたほうがいいと思います。逆回転でもラッチはかかります。





 ジグに約15分おいて取り外し、下の画像のようなジグに取り付け、時間をかけて乾燥させます。



  計10本曲げたうち、1本だけ外周がささくれてしまいました。ジグに
 止めておいた時間が約15分と短いのでどうしてもスプリング・バックがあり
 乾燥ジグに取り付ける際、温度が下がってしまっていたものを無理に
 整形したためと思われます。ジグから取り外した直後は全て問題
 ありませんでした。

  曲げの力を軽くするため複滑車を使った例もありますが、何倍も
 長さのロープを引かなければならず、またロープがこんがらかったりして
 使いにくいと思います。
  ウインチを使用すれば女性でも楽々と曲げ木が出来るのではないか
 と感じました。

 (続く・・・)

 



2004 June