あるプロの方の工房にサイクロンを設置することになり、Billさんの設計から2HPブロア用のサイズを使用させていただきました。右はkazu@あきたさんに加工していただいている様子ですが、そのサイズが想像できるかと思います。また設置にはKEN_BOHさんが駆けつけてくださいました。大変お世話になりましたお二人にお礼申し上げます。
既に壁に穴を開けて設置されていた日立工機の集塵機のブロアをそのままの位置で使用、ブロアの吹きだし口は100φでこれを150φに変換後サイクロンへ。インレットは150φと等価面積の角型に変換。ブロアから出た直後はタービュランス(乱流)なので、エア・フローを整流するためのある程度のダクトは必要。ブロアの専門メーカー昭和電機のサイトでも1m程度のダクトを接続した方が圧力ロスが少ないというアドバイスがあります。またサイクロンのインレット側でも同じ事が言えるようです。和樽さんが製作された助走区間つきのインレットもこの点で効果があると思われます。右は室内側のブロアのインレットの様子。
一番の難関はアウトレット。傘を付ける方法も考えたのですが、雨の降りこみ、強風時の逆流等を考慮し、U字型に折り曲げ下を向くようにしました。エルボは2Rの緩やかな曲げ、しかしもともと229φと径が大変大きいので迫力です(笑)
設計上、そしてブロアのグレード・アップもにらみ
ダスト口も150φとし、これまで使用中の100φ口の
集塵袋に合わせて100φに変換。
インレットとともにリデューサーを取り外せば
すぐ対応可能です。
100φのホースに差圧計をセットして風量の実測。測定値は0.80KPa、風量に換算すると約17m3/min、約700CFMとなりサイクロンや100φのホースを接続した状態で、全く何も接続しない1HPブロア以上の実測風量があるのはさすが業務用ブロアという感想です。
続いて昇降盤、大型自動カンナで切削テスト、問題なく集塵出来ているようです。吸い込みについても以前とほとんど変わらないないということでほっとしました。数回の加工作業でセメント袋サイズ程度は即一杯になってしまうというダスト量のようです。
以下気がついた点。集塵の本場アメリカでなぜ押し込み形のサイクロンが全く普及していないか? 一度も見たことがなくいぶかしんでいました。実際に作動させてみると吸い込み負荷の影響を受けやすいようで、ダストの量が一気に増加した場合や、床のダストを吸い込んでいてホースが塞がれ気味になった際にブロアの負荷が増加し、影響を受けて風速が低下、セパレーションが悪くなり、非常に細かいダストを吹きだしました(目に見えるダストは変化なし)。日の光を浴びてきらきらと輝くのを確認しました。パワーのあるブロアでも起きることですから、ガレージなど室内に設置しフィルターを装着しているケースでは、頻繁に起こるダストの通り抜けですぐ目詰まりを起こしてしまうのが最大の問題点ではないか?
家の吸い込み型でもホース等が完全にふさがれてフローが完全に無くなり、その後開放された時に吹きだしは体験していますが、通常の集塵状態では経験がありません。吸い込み型ではブロアに対してホース、ダクト、サイクロン内の空間がコンプライアンスとして働き、押し込み型の様にはブロアの動作状態がいきなりサイクロンの(ダスト・セパレーション)動作に影響を及ぼさないのでは、と言う感じがします。
ヴォルテックスなどプロの大型押し込み型サイクロンでは吐き出し口側にもブロアを設置してエアー・フローが不安定にならないよう制御しているようです。今回は画像のように周辺に影響を受ける家屋等が無いので問題は無いものと思われますが、色々な側面があるようで、やはり集塵は奥が深い・・・(笑)
2005 Oct.
その後の状況をご連絡をいただきました。 屋外設置で、トタンのドラム、ダクトなど長期間には 錆が出てしまうようなので、コンパネで周囲を囲い、 kazi@あきたさんのアドバイスで露出部分には油性ペンキを塗装されてます。また集塵機本体も雨に濡れないよう囲いと屋根をつけられました。そして吹き出し口には鳥が入り込んだり、巣を作ったりしないよう目の粗い金網をつけています。
以下引用させていただきます。
集塵については
@約5センチ角のコンパネ
A30×35×約60oの垂木
B超仕上げの鉋屑
Cラップ
D手押しの鉋屑
Eひも
画像の通りいずれも問題なく吸い込まれて、
分離されていました。@,A,Bはどこかに引っ掛かりは
しないかとちょっと不安でしたが、ファンで破砕されては
いましたが無事通過していました。
(注:超仕上げ鉋の削りかすは手鉋のように薄くて長い物で
これが団子にならなかったので安心しました)
袋をたたくと、細かい粉じんが落ちてきて、
細かい粉じんも分離されている事が分かりました。
ホースの各接続をしっかりとしたためもあるでしょうが、
吸塵力は確実にアップしている実感です。
画像はありませんが、騒音対策としてブロアの下にゴム・ブロックを入れたり、壁の引き込み部は穴を大きくしてダクトが直接触れないようにし、ブロアの筐体にも遮音材を張った結果、ブロアの運転音より風音の方が大きく感じられるようになったということで、総合的に集塵環境がグレード・アップしたとのご感想をいただきました。