想定外!? 単相コンデンサー・モーターの三相インバーター駆動

 直流注入ブレーキで情報をいただいたYouさんに、お知り合いのあるメーカーのインバーター技術者の方に問い合わせていただくことが出来ました。それによりますと

「(市販の)インバータは、結線間違いや容量の選定間違いくらいで簡単に壊れないように、保護回路がしっかりしている。保護回路が動作すれば壊れない、保護回路が動作しない場合は、正常な動作となり、モータは動く。
実際に単相モータで実験はしていないが、最初に壊れるのは、コンデンサーのはず、インバータの出力波形は、PWMのためコンデンサが高速でスイッチングされるので寿命が極端に短くなる。コンデンサが壊れた事によりモータが焼ける事は十分に考えられる。」

 その技術者の方のご好意による番外情報で、普通インバーターの取り扱い説明書、メーカーWEBサイトのQ&Aには次のことが明記されています。
・三相インバータに単相モーターを接続しないこと(動作しないと書かれている場合もあり)。
・出力に進相コンデンサーを接続しないこと。インバータが破壊される恐れがある。
・インバーターとモーターの間にスイッチを入れてこれでオン・オフしないこと。インバータが破壊される恐れがある。


 ちょっとイタズラ心を刺激されて実験してみました。もとよりメーカーの想定使用範囲外のことで推奨するわけではなく、何が起きても全て自己責任です。

 手元にあった200V/0.4KWの三相インバーター、そして200V/15Wの4P単相コンデンサー進相モーター。実験データなどは無かったのですが、単相200Vの欠相状態でもこのインバーターは動作しました。パラメーターを設定し、そして恐る恐るRUNボタンを押したところ、スルスルと回転を始め、回転数の変化も可能でした。そして数十分動作させましたがインバーター、モーター、コンデンサーの発熱などはありませんでした。
  インバーターの定格よりずっと軽い負荷で、
 進相コンデンサーの容量も1μFと小さい事で保護回路が
 働かなかっただけかもしれません。
  左画像がその際のモーターの電流です。インバータの
 出力電圧はUVWどの端子間も約205Vでした。アイソレーション・
 トランスを落札したのですがまだ届いていないので
 シンクロで波形は見ていません。 

  単相200Vで1/4HP程度のモーターの手持ちが無いので
 これ以上の実験は出来なかったのですが、面白い結果と
 なりました。

  しかし想定外であることは確かで、何の保障も無いことを再度
 明記しておきます。

 更にメーカーの技術者の方が聞いたら思わず目をむくようなことも!?。無謀千万、100V/250Wのモーターを使用したボール盤をこのインバータで駆動してみたのです。回転し始めますが、約2秒ほどでオーバー・カレント(約5A)となり保護回路が働いてインバーターは停止しました。確かにしっかりと保護回路が働くようです。短時間で幸いボール盤のモーターにもインバータにもダメージは無かったようですが、お願いですからこんな馬鹿なことはしないでください(笑)