これもてっとり早く作成したものです。電動工具の電流の検出は旧山水のトランジスター用の出力トランス(ST-48)に隙間に8回線を巻いたものです。実験は夜中だったので、1100Wのヘア・ドライヤーで試しましたが、トランスの二次側に約20ボルトの交流電圧が出てきました。そうすると400wの工具では8V弱となり、この範囲でSSRを駆動できそうです。ただし変化範囲が大きすぎて不安なので直流に変換した後、小型の5V出力の三端子レギュレーター(入力35Vまで出力は5V一定)のICで電圧を一定にし、SSRの駆動を安定させる(フォト・カプラーのLEDを定電流駆動)ようにしました。
厳密にいうと電流が大きいのでトランス・コアの磁気飽和、鉄損失は大丈夫かとか、トランスが小さいので追加巻線に十分な太さの線が使えないなど不安要素がありましたが、15分ほどドライヤーを動作させた後、巻線が人肌ぐらいほんのりとする程度でしたし、トランスのコアの温度も変化しませんでしたのでセーフのようです。また巻線は耐熱電線を使用していますが、温度の点の他、被覆が普通のビニール線より薄いので心線がより太目の線が使えてその点でも有利です。そういえば圧着端子を切らしてしまい、SSRにはんだ付けしていますが、後日正式に接続しなおします。上右はサンダーでブロアの連動動作をテスト中の様子で、集塵ブースターの箱に取り付けました。
真夏の炎天下での使用、長期間の耐久性は?ですが、とりあえずは様子を見ようと思います。
今は秋葉原までの電車賃が往復1000円程度かかりますので、秋月電子通商の通販で購入した場合の送料などの経費と変わらないですね。わざわざ出かけなくても翌々日には届きました(笑)
(註)連動スイッチのために必要なのは0.1〜0.2W程度の微小電力ですから、専用別電源が要らないことがこの方法のメリットです。トランスの本来の巻線は1次側は開放、二次側のみ(細い青と白の線)使用しています。ポイントのST-48は千石電商でも入手できるようですが、私の手持ちのものは20年ほど前の製造品で、現在の物がトランスと巻線コアの間に、上の画像のように赤線の部分に追加巻線が巻ける空間があるかどうかは不明ですので、試される方はこの点を確認してからにしてください。使用したのはフジクラの耐熱電線(AWG20)です。もう少し太い線を巻きたいところですがこれでぎりぎりでした。トランスの1次側は巻き回数が多くてこちらを使えば追加巻線のターン数が少なくて済むと思いますので、2本をバイファイラ巻きにして並列に接続すれば追加巻線の電流容量を増やすことが出来る事に後で気がつきました(笑)のでこちらの方がいいですね。ST-48のインピーダンスは600Ω:8Ωですので巻線比は大雑把に8倍強、という事は追加巻線1ターンで1次側には同じぐらいの電圧が得られる計算になります。
これ以上小型のトランスでは電動工具の電流を通せる太さの追加巻線が通らないですし、鉄心の大きさも足りないと思われます。 ST-41、ST-42、ST-46は使えそうです。また他のタイプのトランスでも追加巻線を巻く為の空間があれば、巻き数を増減して必要な電圧を得る事は可能ではないかと思います。
(注意)100V、1KW以上を扱いますので、誤配線、ショート、感電などには十分注意し、ご自分の責任で事故の無いよう十分ご注意ください。またアマチュア木工での間歇使用程度を想定していますので、安全を考えると消費電力の大きい電動工具(丸鋸など)を長時間ぶっ続けで使用する用途には不向きだと思います。
2004 Feb.
連動コンセントをいろいろな工具に接続してテストしましたが、Boschの1587AVSという可変速のジグソーで不思議な現象を体験しました。1秒間に数ストローク程度のスピードでも集塵ブースターのブロアは連動スタートするのですが、レバーを引いていってだんだん高速にしていくとある点でブロアがストップしてしまうのです。レバーを緩めていくとある点でまた動き出します。
まだ電流を測定していないのではっきりしませんが、低速ではモーターに大きなトルクがかかり、したがって電流も大きいが、ある程度のスピードを超えて定常回転になると逆に電流が低速時より減少する? ためではないか・・・
最終的に回路、定数を決定するにはもっとテストが必要なようです。
ブロアとの連動で不思議な現象が起こるBoschの1587AVSという可変速のジグソー、今日はクランプメーターで電流を測定してみました。このジグソーは五段階A〜Eに、トリガーボタンをいっぱい引いた際の最高速度を変えられるようになっています。結果は
A | ・・・ | E | |
低速 | 1.1A | ・・・ | 1.1A |
中速 | 1.3A | ・・・ | 1.5A |
高速 | 1.5A | ・・・ | 2.8A |
A〜Cの最高速度設定では全てのスピードで連動動作しますが、D、Eではやはりブロアが止まってしまいます。カレント・トランスの電流検出値も低下していますが、予想に反して測定電流は減少していませんので???で頭の中がいっぱい。これはなんなのでしょう??? 電流検出が平均値なのに関係あるか?
いよいよシンクロスコープで電流波形でも見ないと理解できない現象です(笑)
今更、予備実験というところが私らしい?(爆笑)ですが、「電動工具の不思議」解決のためにバラック・テストをしてみました。まずトランスですが、千石電商でサンスイのトランスを見てみましたが、以前より空きスペースが小さくなっていて、明らかに追加巻き線が不可能です。スゴスゴと取りやめるのも癪なので巻き線を保護しているビニールテープのようなものを取り去ったところ、かろうじて同じ耐熱電線を巻く事が出来ました。今度はバイファイラ巻きといって2本の線を平行にまき、両端でショートしておきます。これで追加巻線の電流容量を倍に出来ます。AWG20の安全率100%の許容電流は5.5Aですので、倍になれば大概の手持ち電動工具はセーフになります。右下はバラックテストの様子です。
これからの画像で、上の波形はいずれも100V電源です。また左はジグソーが低速、右は最高速の時です。
まずは0.1Ωの抵抗の両端での電流波形です。手ぶれでぼやけた画像やシャッタースピードのいい加減さは笑ってください
低速では半波の位相角で制御してスピードをコントロールし、ある範囲を超えると全波を通すようになっているようです。次に電流検出トランスでは(2次側無負荷)、やはり磁気飽和も起きていて波形がやせています。
その上低速の方が波高値が大きく、これが不思議現象の原因だったようです。また無負荷ではピークで40Vほどの電圧です。
次は両波整流後の波形、変な現象が起きないようにするにはこのピークをうまくつぶしてやらなければなりません。
色々やってみて検出回路の負荷に10mA流した状態で、最終的に下の画像のようになりました。正弦波は抵抗で1/4に落としていますので1グリッド80V、下の波形(直流なので直線ですが)は1グリッド5Vです)。
低速で約5V、最高速で約7V出ていますので、今度は変な現象は起きないと思います。そして1100Wのドライアでは
約15Vでした。工具などの電流値に比例していませんが、測定器やパルス・トランスを作っているわけではないので、多少乱暴な方法ですがSSRを駆動するだけの小電流を取り出せて、使用する電動工具で確実に連動し、安全上問題が無ければそれでいいと思っています。後は工具のモーターのピーク電流(検出後はピーク電圧)から素子を保護する簡単な回路を追加すれば、問題は無くなると思っています。
市販されている連動コンセントでも特定の機器が連動しなかったりというトラブルはあるようです。
ところでここはいつから電子工作のHPになったんでしたっけ・・・????????
2004 March
予備実験で得られたデータに基づき、回路定数などを変更し、100W〜1KW程度の工具とブロアを連動させる「連動コンセント」が出来ました。変更点は
@電流検出トランスはST-48に二本の線を平行に巻くバイファイラ巻きで4回、またトランスの出力はインピーダンスの高い(巻き回数が多い)端子にしました。
A波形の観測から検出回路の平滑不足が判明しましたので、200Ω、470μでピークをつぶすようにしました。これで途中でブロアが止まるような変な現象はなくなりました。
副次効果として470μの充電時定数が大きくなり、約0.5秒遅れでブロアがスタートします。1000μ程度まで大きくしてもいいと思いますが、大きな工具では遅れは短かめとなり、またカチャ・カチャというようなスイッチの入/切の繰り返しではこのコンデンサーがディスチャージされませんのでディレイはありません。まあおまけ的なものです。
(註)使用しているブロアの消費電力は約600Wですが、普通のコンセントは最大1.5KWまで(工具+ブロア)ですので、約1KW以上の電動工具は別のコンセントに接続する必要があります。したがってこのままの回路接続では使用できません。
2004 March